タイトル | YOTSUBA&! |
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出版社 | Punainen jättiläinen |
形式 | ペーパーバック |
サイズ | 183×126×16mm |
集めた数 | 1 |
英語版やフィンランド語版に近い仕様で材質などもほぼ同じ。書き文字は横に訳を記載する方式。
1巻の終盤のシーンで、よつばが「翻訳家とこんにゃくやを間違える」というものがある。これは日本語特有のシャレであるため、言語ごとに違いが出やすく面白い。
まずは日本語におけるやりとりから。
とーちゃん「んー?」「しごとー?」「翻訳家だよー」
よつば「こんにゃくや」
風香「へ?こんにゃく屋?」 出典:日本語版第1巻7話
続いてフィンランド語におけるやりとり。
とーちゃん「?」「Al, ETTÄ MITÄ-KÖ TEEN?(何をしてるかって?)」「HÖYLÄÄN KÄÄN-NÖSTÄ.(翻訳を整えてるよ)」
出典:フィンランド語版第1巻7話
よつば「HYYTE-LON- KÄÄNTÄ-JÄ!(ゼリーをひっくり返してる!)」
風香「AI? TEKEE-KÖ HÄN HYYTE-LÖÄ?(え? ゼリー作ってるの?)」
なんと日本語版のこんにゃくのニュアンスをキープし「ゼリー」としている。
まず、とーちゃんのセリフ「HÖYLÄÄN」が「何かを整えたり削ったりする」という意味で、「KÄÄNNÖSTÄ.」が「翻訳から」を意味する。文脈としては、一度翻訳したものを清書しているといったところだろうか。
よつばの「HYYTE-LON-」がゼリーや寒天を意味する。「KÄÄNTÄJÄ」のうち「KÄÄNTÄ」は「翻訳する、ひっくり返す、方向を変える」という意味で「JÄ」が付くことで「〜する人」という意味になる。合わせると翻訳者という訳にもできるのだが、直前にゼリーという単語が出てきたことで翻訳というよりはひっくり返すニュアンスで受け取られている…といった感じだと思われる。
よつばと序盤にはしばしばセミの名前が登場する。
フィンランド語ではどう翻訳されているかについて紹介する。
ジャンボ「おーおめでとう あぶらぜみだ」
ジャンボ「クマゼミだ!クマは今日それ一匹だけだ!一番大きいぞ」
出典:日本語版第1巻6話
ジャンボ「HYVIN TOI-MITTU.(よくやった)」「SE ON LAJIL TAAN ABURA-ZEMI.(これはアブラゼミだな)」
ジャンボ「SEN ON LAJILTAAN-KUMAZEMI!(これはクマゼミだ!) TUO ONKIN ENSIMMÄI-NEN LAJIAAN TÄNÄÄN!(今日始めてだ!)」「SE ON KAS-KAISTA SUURI-ΚΟΚΟΙ-SIN.(これは一番大きいぞ!)」
出典:フィンランド語版第1巻6話
フィンランド語版は比較的そのまま訳す方針のようで、アブラゼミやクマゼミという単語が直訳で登場している。
訳を見る限りとくに改変は見られない。
次に気になるのはフィンランドにセミがいるかどうかだが、結論から言えばいないらしい※1。一応いるにはいるのだが「Cicadetta montana」と呼ばれる絶滅の危機にある1種しかおらず※2、少なくとも馴染みのある虫ではないようだ。フィンランドは北緯60度から70度に位置しており、セミの北限はだいたい50度ほどなのでセミには厳しい環境なのかもしれない。